私は、普通の人とは少し違う感性をしていて、
たとえば、舞台を観ていても、
表面的なことよりも、内面へ、奥へ奥へと深く抉っていってしまう性質がある。

だから、
喜劇とか、単純明快なお話(宝塚だとよくあるよね)だと、なかなか受けつけなくて、
悲劇であればあるほど、ダークであればあるほど、救いがなければないほど、
精神的に溺れてしまうのだ。
そして、その一種の快感が、たまらなく愛しかったりする。


『BAKXAI』


それは、ギリシャ悲劇。
およそ2400年前、エウリピウスが書き上げた作品。

                                                
-人は神のように恐ろしい-
-神はあの人のように愛おしい-


                                                        
非常に哲学的で、奥が深くて、
本当の意味で、完全に理解するのは、至難の業なんだろうけれども、
だけれども、この舞台が持つ独特の世界観に、私は究極酔いしれ、良い意味でのショックを受けたんだ。

                                                                       
変な言い方だけれども、面白かった!!
                    

舞台装置はいたってシンプルなの。
でも、凄いの。

舞台から、とても刺激を受けて、色々深く感じて、
でも、ここでは、その真髄であったり、核心であったりには敢えて触れたくないので、
とゆーより、私自身が感じ取った魂を、万人の目には触れさせたくないので、

(とゆーより、それは、ご本人に一番にお伝えしたいので)

ここには、書けない。
                         

だから、ここでは演出面&音楽面について考察。

                                                             
まず、音の使い方が巧いと思った。
                                  
ストレートプレイで、所謂バックミュージックとか、歌とかは当然ないんだけれど、
要所要所で効果音(SE的な音)が用いられるの。
その使い方、というか、見極め方、に、心底感動してね。
無駄一つない、まさに、効果的!!
落雷であったり、不気味な鳥たちがはばたく音であったり、炎が燃え盛る音であったり。物凄いインパクト。
それは、大音量ってこともあるけれど、決してそれだけじゃなくて。

                                    
あと、↑ああ書いてるけど、要所要所で音楽(←とゆーか、所謂SE音ではなくて階名や音名で表せる音がという意味)が流れてね。楽譜にすれば、2小節に2音ぐらいのシンプルなものなんだけれども、それだけでも、雰囲気が醸し出されていて。あるのとないのでは、多分受ける印象が全然違うはず。曲がりなりにも、作曲(主に現代音楽)を学んできた身には(←とゆーか、お芝居の脚本や音楽に興味を持っている者としては)、とても勉強になりましたね。

                                             
それと、もう一つ。
それは、役者さんたちが、舞台の上で創り出す効果音。
たとえば、葡萄酒をガラスの面に投げかける音、ナイフに滴り落ちる音、
鏡を床に投げつける音、駆けてくる音、ぶつ音、血に染みた服がビチャリと落ちる音、
靴を放り投げる音、とか、とても全部は書ききれないけれど、
限られた空間の中で、それらが凄い舞台にインパクトを与えていてね、
また、音響-音の響き方-が、此処では独特で、ある種、冷たいコンクリートのような感じなの。
なんか、冷酷に振動共鳴するって感じで、凄く印象的だった。

                                                 
そして、演出。

ギリシャ悲劇なのに、
豹柄のスーツケースが出てきたり、透明なゴミ袋が出てきたり、
メイドウェイトレスが出てきたり(@さららさん・笑)、
ペンテウスがスーツ姿だったり(@多分束縛や規範の象徴)
なんちゅーか、その異色な融合具合が、良い味出してるなと。
やりすぎるのではなく、ピンポイント的にさりげなく、ってのが、また良いんだよ。
でも、きっと、それぞれに意味が含まれていて、
たとえば、最初、メイドの格好で出て来たさららさん、グラスに注ぐのは葡萄酒だし、
エプロンを乱暴にとって放り投げるのも、何かの暗示だと私は思う。
(←それについても色々考えてはいるけど、ここでは言わないことにします^^;)

コロスたちのエロスの表現も、凄かったし、
役者皆の、良い意味での陶酔ぶりが、観ている方も大変心地よかったかな。
うっとりじゃないけど、酔いしれちゃうのよね。

                                    
…そんなところでしょうか(笑)

いや、問い詰めれば、まだまだ書きたいことはあるんですけれど、
今日は疲れたんで、この辺りで抑えておきます。

ただ、自分の中で最大の不思議。

あの扉、どーやって開いていたんだろう???(素)(自動ドアなのかな?)

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