『暁のローマ』-其の三-(昨日の日記の続きです)。

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「真実と真逆の歪んだ映像を視界に焼きつけさせて、歪曲。 
  事実を皮肉に捻じ曲げて、無理矢理、自らの君主(カエサル)を正当化に演出。
   亡き君主をここまで持ち上げた理由(訳)は、当然、
     以下のことを、世界に知らしめるため。」
                              

”自ら”(アントニウス)こそが”真”の王である、ことを



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”熱”にうなされた民たちは、アントニウスの甘い蜜に瞬く間に吸い寄せられる。
もはや、呪われた魔術を解く手立てなど、此処には残されていない。
発狂する民たちに追われて、広場から逃げ出すカシウスとその配下の仲間たち、そして、ブルータス

その時点で、まだカシウスは正気である
冷静沈着に物事を見極めることのできる千里眼と、鋭い観察力を失ってはいない。
(*彼は、カエサス暗殺の際、アントニウスも同時に殺害すべきだと主張していたが、カエサル以外のローマ市民の血が流れることを望まないブルータスの意向により、殺害が回避されたことを重く視ている。)
意気消沈するブルータスを再起させ、奮い立たせ、すぐさま次の手を頭脳回路の中で模索し始めている。

そして…
まんまと”民の心”を掴んだアントニウスは、カエサルからの遺言状を声高々に読み上げる。

                                                            
”オクタヴィアヌスを後継者として任命する” と。


彼は、そのとき既に、オクタヴィアヌスをも道具に使おうと考えていた。
カエサル死後、オクタヴィアヌス、レピドゥスと共に三頭政治を開始。
だが、三頭政治は、アントニウスにとっては権力争いの一時的な妥協に他ならない。

こうして、ローマの支配権を手中にしたアントニウスとオクタウィアヌスは共和派への反攻を開始。

その頃、カシウスは支配権奪取に向けて、新たな策略を練っていた。

一方、ブルータスはというと…
発狂した妻ポルキアに罵られ、責められ、それでも愛しているのにと懇願され、
目には見えない血にまみれた手で幻覚に怯え続ける彼女は、為すすべなく狼狽する彼の目の前で変死する。

そう、ポルキアもまた、カエサルによって操られた”亡霊”の使者の一人に過ぎなかったのだ。

この後…
カシウスと共に、フィリッピの戦いに挑んだブルータス。
ブルータスがオクタヴィアヌス勢を、そして、カシウスがアントニウス勢をそれぞれ受け持ったこの戦い、
ブルータスは優勢に戦ったが、カシウスのほうは徐々に押し込められていく。

病気リガリウス(青樹)も、ナゾ(真野)も、ガイウス・カスカ(星条)も、
そして、あの可愛かった少年プブリウス・カスカ(明日海)でさえも。

未だ強力に存在する、
目には見えないカエサルの驚異的な支配力、
彼の捕虜、生きる屍となり、時代の”亡霊”へと成り果てていく。(敵に連行されていく。)

そして、カシウスは諦念する。
自軍が全面的に敗れていると形勢を誤解したカシウスは騎兵隊の接近を受けて自ら命を絶ったのだ。
                             

ブルータスへの想いを胸に抱いたまま。
                              

彼の死は、またもや、ブルータスに ”亡霊”を生み出す
そう、カシウスまでもがその瞬間、「僭主カエサル」の虜となってしまったのだ。
本人の意志ではなく、魔力によって。

そう、この鏡の世界は、囮。
僭主カエサルの支配下に置かれた、巨大なイミテーションワールドだったのだ。

ある真夜中、カシウスの夢(幻想)を視たブルータス。
彼は、すべての終わりを悟る。

彼(ブルータス)にとって、命より大切なものをすべて失ってしまったその瞬間。
ブルータスは、死を決意する。だがしかし、ただでは死ねない。
カエサルの巨大な包囲網を突き破らないことには、自らが志半ばに「命」を落とさねばならぬ理由はないのだ。

彼は、ある者に”真実”を委ねる。
時代の生き証人、その名も、、、、、、、ストラトーン(龍真咲)!!!
そう、彼は、ブルータス(ポルキア?)の従順たる召使である。

ブルータスは、ストラトーンに聖なる剣を差し出し、「この剣で私の心臓を一突きせよ!」と言う。

何故なら、それが最後の砦なのだ。
強力なカエサル「鏡」の魔力を粉々に砕き散り、皆を正気に戻すためには、こうする他ない!!!

そうして、満天の星空の下、ブルータスはストラトーンの腕の中で、静かに息を引き取るのであった…(完)

(続く)
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