うひカルの背中に、真っ白い大きな羽根が透けて見えた。

それはあるいは、大天使ラファエロのように、
それはあるいは、美しく、はかなく、とめどなく零れる神聖な涙のように、
その背中に、ふんわりと、
傷ついたうひカルの身体を、優しく羊水のようなやわらかさで包み込むように、
真っ白な、汚れなき大きな羽根。
神に命を召された瞬間、
うひカルは、安らかに、心からの幸福感(しあわせ)に満たされて、
その白い羽根をゆっくりと羽ばたかせて、愛するトウドレの元へ、飛び立っていく。
宇宙を越えて、時空を超えて、
”永遠”というときの中で、うひカルとトウドレは、永久に光と影のように寄り添い、愛し合い、二人の魂は、結ばれ続ける。
”愛”という名の”生命(いのち)”に守られて…..

”フランス、万、歳………”

うひカルの死。
そこに在るのは、幾重にも幾十にも織り重なっては広がりゆく水紋のように、
心の奥底に、ゆっくりと深くじんわりと染み渡ってゆく”魂”の余韻、そのものでした。

”バスティーユが堕ちたぞー!!!”

バスティーユ陥落に歓喜の声を上げる民衆たち。
勝利の叫びを上げる衛兵隊士たち。
皆の、”叫び”の中で、
少しずつ意識を失っていく、うひカル様のその姿と、彼女を包み込む聖なる空気の膜は、この世のものとも思えないほどに透明で、美しく、麗しく、潤しく、
研ぎ澄まされた静けさの中で、
私は、うひカル様のその背中に、羽根を見た。
真っ白で透き通るように美しい、大きな羽根を見た。
奇跡のような、その静寂。
そう、うひカル様を包む、その空間だけが、ありえないほどの美しい静けさに満ちていたの。
まるで、そこだけが、時が止まったかのように。

一種の奇跡。
それは、私の感性が導き出した、一種の幻想かもしれないけれど、それでも良い。

私には、
うひカルが神に召されるその瞬間、
彼女の純粋な魂が生み出した真っ白な美しい羽根が、背中に芽生えて、
命の灯し火が潰えた瞬間、全てが純化され、
ペガサスの翼にも似た、その大きな羽根を羽ばたかせ、
天上の愛するトウドレの元へ、高く舞い上がっていくうひカルの魂が見れたのだから。

うひカル。
貴女は最高に美しかったよ。
生まれたばかりの天使のように、純粋な美しさに輝いていたよ。

美しい夢を見せてくれて、心からありがとう。

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