幕が開いた瞬間の、
あの興奮を、感動を、胸の高鳴りを、
私は、この先も一生忘れることはないだろう。


あれからもう一年経ったのか。
去年の今日は、月組大劇場公演の初日。
彩輝直サヨナラ公演でもある『エリザベート』が、幕を開けた日でもあった。

今でも、まるで昨日のことのように覚えている。
幕が開く瞬間の、あの何ともいえない緊張感、
客席全体が、恐ろしいまでの静寂に満ちていたその空間を。

私にとっては、これが生まれて初めての生エリザだった。
未知なる世界に、
私の胸は、期待と不安と、一種の楽しみと恐ろしさで、いっぱいいっぱいで…
ひたすら固唾を呑んで、舞台前方を見守っていた。

心臓はバクバクドキドキ。

幕が開いた瞬間と、
彩輝トートが表面に現れた瞬間の、
あの興奮と、感動と、胸の高鳴りを、私は永遠に忘れないであろう


凄まじい存在感だった。
この世のものとは思えないほど、まさに死神そのもの。
空気が凍りつくかのようなありえないほどの禍々しい美しさ。
耽美で妖艶で…危ないほどに魅惑的で。
私は、一瞬にして、彩輝トートに魂を吸い寄せられた。
そして、切なかった。
だって、すごく感情移入してしまったから。
彩輝トートは、「死」の存在でありながらも、すごく繊細な感受性を持ったトートだったから。

ごめんなさい。
だけど、私、最初から彩輝トートに魅入られてしまったのよ。
だから、正直、初日の出の時、
さららさんにお渡ししたお手紙には、そのことばっかり書いていたような記憶がある。
興奮しすぎて、
幕が下りた後も、ずっと余韻は冷め止まなくて、
書き殴るように、細かい字で、「感じた」そのままの感動を勢いで綴ったから、
勿論、エルマーについてもたくさん書いたはずだけど、
今、思えば、
それ以上に、もっともっとトートのことばっかり書いていたような気がする。
そして、何より、
影ソロがさららさんであった喜びが、私の中でとてつもなく大きかったから、
それについても、触れていたと思う。

私、期待してたんだよね。
もしかして、影ソロさららんなんじゃないかって。
だって、歴代のエリザ観たら、皆、歌唱力というより、声質が近い人を選んでるって感じがしてたから。
マリコさんにわたさん。ズンコさんにひなちゃん。オサさんにトム君。
だから、夢が叶ったときは嬉しかった。
だって、サエちゃんとさららんがつながっているんだよ。
大好きな二人が、つながっているんだよ。
私にとっては、本当に夢のように幸せで、初日が開いてからも、何回も何回も劇場に足を運んだけれど、この場面♪最後のダンス♪の場面は、いつも幸せの大絶頂だった。

…あれから、もう一年も経つのか。
本当に、あっという間すぎて、時間が経つのが早すぎて、何だか実感味がない。
でも、この一年の間に、
愛する御二人は、宝塚という夢の園から、翼を広げ、遠くへと飛び去ってしまった。
あれから、まだ一年しか経っていないのに、もう此処には二人はいないんだ。
そうふいに思い出したとき、寂しくて、切なくて、愛しくて、
あの頃の日々が懐かしくて、もう一度、時計の針を戻したくて、あの頃に戻りたくて…。
だけど、願いは叶わない。
叶うはずもない。これが、現実なのだから。
だから、過去に逃げるのではなく、前を向いて、歩いていこう。
大切な人たちを、この手で失ったわけではないのだから….
この心の中に、今でも美しく映し出されている想い出の宝石箱は、永遠に色褪せない。
そして、彼女たちへの想いも、永遠に果てしなく続いていく。

サエちゃん。
貴女の舞台、いつか必ず観に行くよ。
さららさん。
貴女にもう一度回り逢える日を私は心から信じて、いつまでも待っています。

だから…
今は、今だけは、少し夢を見させて。
一年前のあの日のことを、思い出させて….。

夢はいつまでも美しく、
夢はいつまでも永遠のままで。

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